【コラム】未来ではなく、現在の自動車セキュリティ

自動車セキュリティ技術の研究開発中にあったことである。

「この技術を何と定義したら良いか。」

論争になった。どのような技術の名前を付けることは、たいしたことないように見えるが、意外にも非常に重要なことである。それぞれの技術を明確に定義してこそ、ある技術と他の技術の境界を分けることができ、その分類によって、その技術に関連しているすべての技術の全体的なマップをきちんと描いてこそ、それぞれの部分が意味するところが何なのかを正確に知ることができるからである。

自動車セキュリティ技術を何んと呼ぶべきか。「スマートカーセキュリティ」、「コネクティッドカーセキュリティ」などの意見があったが、最終的には、「自動車セキュリティ」と呼ぶことにした。技術的な観点から見ると、スマートカやコネクティッドカーという言葉が意味をより明確に伝達するが、何だか現在の自動車のための「現在の技術」ではなく、未来の自動車のための「未来の技術」のように見えるのではないかと懸念したためである。自動車セキュリティは、未来の技術ではない。今ここに、現在の技術である。

世界を脅かすあらゆるリスクの中で最も危険なリスクは何んだろう。準備もできてないのに、突然迫ってくる危険である。自動車セキュリティがそうである。新たに登場した攻撃と防御戦闘に歓呼するいくつかのアーリーアダプターもいるが、ほとんどの人々は、「それは、何?」と興味を持っていないし、毎日、新技術が登場するにも関わらず、並行なければならない安全意識は技術の速度を追いつかない。今後、いや、今でもすでにコネクティッドカーは日常なのに、そして、自動車セキュリティは、運転手や歩行者の命がかかった非常に深刻な問題だが、見てみろう。準備が十分であるか。

では、自動車セキュリティの基盤であるコネクティッドカーの現在の技術を調べて、未来の技術を展望してみよう。

 

コネクティッドカー2020年には、6,100万台

市場の状況を調べる前に、まず、「コネクティッドカー」とは、各種のデータ送受信、車両内部デバイスのモニターリングおよび制御、システム管理などのために外部ネットワークとの双方向無線通信が可能な自動車だ。それにより、地図・天気・交通などの情報の提供してもらう生活に便利な機能とリアルタイムでの車両の状態をチェックすることにより、異常が発生した場合、警告するなどの管理機能を提供させられる。既存の自動車に比べてスマートになったという意味で「スマートカード」と呼ぶこともあるが、技術的にはより正確な意味を持っているコネクティッドカーと呼ぶことにしよう。

そのようなコネクティッドカーの生産量が5年内には5倍以上増加するという見込みである。市場調査機関では、2016年に1,240万台規模にとどまっコネクティッドカーの生産量が2020年には6,100万台に達すると予想している。毎年1,000万台ほどの増加を予測したわけだが、これはかなり緩く計算した保守的な見込みではないかと思う。まだ、Web基盤のサービスプラットフォームとしてのコネクティッドカーの需要が反映されていない値で見られるだろう。プラットフォームへの変化が本格化されたら、予想よりもはるかに急速に拡大されると予想できる。

自動車そのものが通信として

コネクティッドカーを通信方式によって、2種に分類すると、有無線接続を介してモバイル機器のデータ接続が車両と共有されるようにする「テザータイプ(Tethered Type)」とSIMチップベースの内蔵モデムを搭載した「組込みタイプ(Embedded Type)」に分けることができる。テザータイプは、通信の中心がモバイル機器であるのに対し、組込みタイプは、自動車その自体が通信の中心である。似たような例として、ノートパソコンでWebサービスを利用する時、スマートフォンのテザリングを介してWebに接続する方法があり、また、スマートフォンがなくてもノートパソコン自体でLTE通信が可能な方式があるが、前者をテザータイプ、後者を組込みタイプで見れば両方式の違いを簡単に理解できる。

ところが、コネクティッドカーの成長見込みを調べてみると、テザータイプの成長に比べて組込みタイプの成長幅がはるかに大きい。テザータイプは、一定の数を維持するのに比べて、組込みタイプの生産が急激に上昇し、全体の成長をリードする。つまり、モバイル機器に依存されず、自動車そのものが通信の中心となる方向に成長していると見ることができる。

この時点で、自動車会社は、長期的に見るとあまり得のない判断をしたりもする。例えば、フォードとトヨタは一緒に「スマートデバイスリンク(SmartDeviceLink、SDL)コンソーシアムを結成し、コネクティッドカープラットフォームを共同開発することにした。自動車を外部ネットワークとの接続する際に、スマートフォンを必須的な要素と見て、つまり、テザータイプ基盤のソフトウェア生態系を作り、AppleとGoogleなどのIT企業の自動車業界への進出に対抗する壁を連合して立てるという計画である。しかし、IT企業は、その次を図る計画を立てているのだ。つまり、自動車自体の通信環境に備えたサービスをすでに準備しているものであり、自動車会社は、主導権を逃すだろう。このようなことにおいては、シリコンバレーが確かに速い。今までいつもしてきたことだから。

 

自動車は、Webスのサビスプラットフォ

自動車は、もうすぐWebベースのサービスプラットフォームになるはずだ。スマートフォンを見てみよう。初期のスマートフォンは、ただの「インターネットができる電話」だった。しかし、スマートフォンアプリ市場が高度に成長した今のスマートフォンは、最も活発なWebベースのサービスプラットフォームである。よく「アプリ」と「ウェブ」が違う技術であるかのように言うこともあるが、アプリは、最終的にWebアプリケーションである。どのような端末を使用しても、結局アプリケーションを利用して、Webを介してサービスサーバに通信するWebベースのサービスである。

スマートフォンが普及され、わずか10年になった。ウェブ検索、ショッピング、ナビゲーション、ゲームなどのスマートフォンの使用が日常に及ぼす大きな影響を考えると、信じられないほど短い期間である。このようにある日常的なものがWebに接続されると、その周りの各種事業の生態系が発生する。モノのインターネット(IoT)技術が最近話題になっていることもこのような理由のためである。ウェブに接続されたものは、そのもの自体を超えて、はるかに大きなビジネスの中心になるが、ウェブに接続されたものが非常に多くなる現象がモノのインターネットだから。

そして、世界は変わる。携帯で電話だけした時代には、通信の他に別途の事業が完全になかった、今日のスマートフォンは、あらゆるビジネスのチャンネルである。自動車はすぐにそうなるだろう。自動車は、スマートフォンに比べてはるかに大きくて強力な機器を設置することができるし、パワーの問題からも自由である。「動くデータセンター」という言葉もあまりの誇張ではない。

あるセキュリティ技術は、その対象技術の変化によって変化する。今日、コネクティッドカーは、スマートフォンで自動車のドアを開閉し、すぐに道を見つけるためにマップサービスを利用するレベルから徐々に車両整備及び管理のための車両情報収集、道路交通情報収集など、より規模が大きいサービスに拡張されていく中である。そうするうち、急速に発展する自律走行技術と結合した時、Webベースのサービスプラットフォームとしての自動車は完成されるものだ。その時の自動車セキュリティ技術は、今の自動車セキュリティ技術とは全く別の意味を持つようになるだろう。

 

閉鎖生態系のリスク、開放生態系へ

ある自動車会社の社長がこう言った。

「もう、この会社は自動車会社ではない。ソフトウェア開発会社だ。」

適切な状況認識である。しかし、その方向性はもう一つの考えてみる必要がある。IT融合産業の初期には、特に、自動車のような製品中心産業はややもすると閉鎖生態系に向かってやたら走って行ったりする。しかし、これは結局、無駄な欲にとどまってしまう。スマートフォンをただの製品だけで見る時もそうだった。ノキア・ブラックベリー・アマゾンのスマートフォンの閉鎖生態系がそれで失敗したわけだ。Webベースのサービスプラットフォームとして大きく成長したいなら、開放生態系を追求しなければならない。しかし、このような決定をすることが決して簡単ではない理由は何だろうか。それは、焦りである。

既存の自動車会社のほか、IT企業が自動車業界に飛び込む。ものすごいお金を投入し、自律走行車や軽量電気自動車事業を計画したり、既に作っている。テスラ(Tesla)は、すでに世界最大の電気自動車販売会社として地位を固めたし、中国のスタートアップ企業も中国にあふれる資本で米国の大規模の電気自動車工場を建設すると出た。Googleは、自動車業界の予想よりもはるかに早く自律走行車の技術をほぼ完成段階まで引き上げた。このような現象について、テスラ社は「近未来には、まるで20世紀初のように多くの自動車メーカーが競争するはず。」と言っている。これにより、既存の自動車会社は、前述した「スマートデバイスリンク」の例のように、未知の敵の攻撃に対応する防御戦略を組むが、その結果、閉鎖生態系の沼に陥ってしまう。

 

者の

どんな分野でもすでに成功した企業が、既存と違う方向で革新するためには、既存の主力製品をあきらめなければならない時がある。それをあきらめたくなくて、適当な時期を逃すとその後の競争から遅れてしまう。これが自動車産業の強者の悩みである。従来方式の自動車工場にはすでに多くの資本が投入され、理事会が保守的なのは、むしろ当然のことのようだが、労働組合は理事会よりも保守的に行動する。それに、自動車流通網の大型ディーラーまで加勢すると、外部の敵より内部の敵がむしろ恐ろしい状況に至る。

だから、心理的な防御メカニズムが作用し、わざと後発走者を疑って無視する態度を取ることもある。Appleは、なぜ車の話をするのだろうか。いつまでするつもりなのか。Googleは、またなぜそうするのだろう。私たちの仕事なのに、なぜ彼らが?しかし、これは仕方ない現象である。AppleやGoogleぐらいの規模の企業ができる事業はあまり多くない。そして、彼らの強みであるIT技術と融合できるIT融合事業の数はさらに少ない。さらに、自動車は今もIT技術をたくさん使うが、これからは一層多く使われる分野なので、自動車産業はAppleやGoogleのような企業が当然狙うべきの事業なのだ。

よくこなすかもしれない。機械学習だけ見ても、どんだけ自動車に適した技術であろうか。自動車の学習ソフトウェアがあり、走行中の車が次々と新しいものを習得するようなら、そのソフトウェアは、ますます安全になれるだろうし、便利になるだろう。未来自動車に向かう主な変化は、大きく3つに圧縮することができる。自律走行、エネルギー革新、そして車両共有。どれもがIT業界出身の後発走者を決して無視できない大きな根拠である。差別化される自動車の多くがますますソフトウェア的な側面から出発しているというのは、とにかく事実である。

 

自動車とIT、協業の必要

今までコネクティッドカーの現在の技術と未来の技術を調べてみた。結論を簡単に言えば、自動車会社は、次の変化を予測していなかった短期的な判断、独占欲による閉鎖生態系の構築努力の失敗など、IT企業の過去の成功と失敗の歴史を振り向いて、より悩む必要があると思う。全く新しい生態系を最初から作るという努力はだいたい失敗した。自動車のIT技術は、完全に新しく登場した見知らぬ技術ではない。既存のIT技術を盛る器が少し変わっただけだ。もちろん、自動車通信のためのWAVE規格など、自動車だけのために別の特別な技術があるが、それも既存技術の変形適用だけのことだ。

自動車セキュリティ技術もまた同じだ。既存の情報セキュリティ専門企業が長い歴史の中で重ねてきたノウハウを完全に最初から構築しようとする試みは、あまり良い判断ではない。だから、その次にくる大きな絵は別々に描きながら、一応情報セキュリティ専門企業との協業した方が良いとみられる。それもまたIT企業の過去の試行錯誤を通じてその価値が十分に証明される戦略である。得るものは多いが、失うものはない。